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小林洋子ピアニスト

かけがえのないもの


もし4本脚のテーブルの脚2本がほんの少し短かかったら、おそらくガタガタと音を立て、

人間に「ぃや~ねぇこれ」と言われながらもジッと耐えている。

私の右手は、何となくこんな状態のようだ。この妙な違和感は、ジストニアがほぼ治癒した後に残った不便な状況。で、毎日私に「ぃや~ねぇこれ」と言われ続けている訳です。

しかし、ジストニアと診断され、音楽とは違う仕事につかなければならなくなった人たちがたくさんいる中、私は、少しずつですがこうしてまた演奏活動ができるようになったこと、本当に感謝しています。

前のような自分の手になりたいか、と聞かれれば答えはノーです。

不便な右手ですが、その分、かけがえのないものを授かった気がしています。

自分が漠然と思い描いていた音楽、目指していた音楽とはこれだったんだと、ほんの少しだけ見えたような気がしています。後はそれを目指して進めばいい。

おそらく以前のままだったら、今の私の思いには到底着地出来ていなかったと思います。

人生なかなか面白いもので、いろんなことに気付くには「え?!今頃?」と思うくらいの長い長い年月がかかり、今まで当たり前に存在していたもの全てを無くしてやっと気づくものなんだということを今更ながら思い知る訳です。(恥)

次のライブはまだ一か月も先です。数年前までは次のライブは恐怖でしかなかったものが、今やっとワクワク楽しみに待つものと化しました。


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最終章vol.2

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