振り返ってみて
- 小林洋子ピアノ
- 2019年8月10日
- 読了時間: 2分
歴史上はじめてmusician's Dystonia だったのではないか?と言われているのが、
シューマンである。
彼が残した日記には、右手3指が部分麻痺のため自由に使えないことを確認と、
1831年5月に記されている。
最初は手術が怖く、医者にはいかなかったらしいけれど、当時の医療水準を考えると
妥当な考えだったかもしれないという記述も残っている。
けれど、あまりにも苦しかったのかその後シューマンはいくつかの医者を訪ねている。
その結果シューマンが下された病名とその後の治療は聞くに堪えないものだ。
全くナンセンス極まりない。
私は2012年初頭に今までにない違和感を感じ、これはなにかおかしい、
練習不足などの問題ではない、何か難病みたいなものでは?と疑い、自分で医者探しから始まりました。
音楽家のジストニアを研究されている医者(専門医師)も非常に少ないことも分かりました。
私の場合、たまたま2012年の中ごろに、初めてジストニアに関する書物が、日本語に訳されて出版されていたことはラッキーだったのかもしれません。
その一冊を手に取り、載っていた写真を見て呆然と立ちつくしたこと、今でもはっきりと覚えています。
私に起こっている右手の症状と全く同じ、ピアノを弾いているジストニア患者の右手が写っていたのです。
今の時代でまだ良かったのかもしれません。ジストニアという言葉を知って、
その後ネットで調べ信頼できる医師の下へ。
何十年も音楽をやっていたにも関わらず、私自身も全く聞いたことのない疾患であり、私の周りからも聞いたことがありませんでした。
現在は認知度は少し増してきているようには感じますが、今までに感じたことのない違和感を感じたら、なるべく早く専門医の下へ行かれることをおすすめします。
演奏家は、自分の手に何かの変化があれば、練習によってそれを解決していこうとします。今までずっとそうしてきたわけですから。
でもそれは、逆効果なのです。

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